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『サピエンス全史』を読んで『気候変化と人間』を読み返して

  • 2017.03.27
年初に『サピエンス全史』上下巻を読みました。
その後、何度か部分的に読み返して、読後感が今頃になりました笑。

「農業革命が人類にとっての不幸だった、という衝撃的な話らしい」、とは聞いていましたが、いやはや、これはここ数年読んだ本の中で、私の一番確定です。
 
数年前にベストセラーになった絵本のような『137億年の物語』という本も、その全体を見通す感じがたまらなかったのですが、この本はまた通史としてホモ・サピエンスの誕生から全体を俯瞰していて、さらに人類を第三者(「者」というのもミスリーディングなくらい)の視点で客観視している点が秀逸です。
 
サピエンスが進出して、どんどん哺乳類が絶滅していく様は、現在のワシントン条約の絶滅危惧種たちもビックリな規模とスピードで起こったことや、近現代は紛争にまみれた時代と思っていたけれど、国家の概念が存在する前がいかに暴力的な世界だったかという話、「認知革命」によって、サピエンスが遺伝子変化のスピードを超えて進化することができたという話、などなど、どれも興味深い話ばかりでした。
 
人類について客観的に見るようになった結果なのか、先日、マザー牧場に行った時にも、牛が鎖に繋がれている様がとても忍びなく思え、その直後にその牛たちが伸び伸びと大地を駆けることを許されている姿を見てホッとしたり。この本をきっかけに、他の生き物や食物に対しても今までにない感じ方をしている自分に気付きます。
 
そして、子どもたち・若者たちのプレゼン力アップを目指すアルバ・エデュの活動からすると、既にあちこちでお話してきたことではありますが、なぜサピエンスがほかの種を征服することができたのかは、言語を操る能力にあった、というのは非常に示唆的な話だと思います。家庭でも地域でも会話が減っている現状は憂慮すべき事態だと思うのです。
 
この本を読んで、ふと思い出して、鈴木秀夫著『気候変化と人間』という本を読み返してみました。天候が人類に与えた影響をつぶさに書いた研究論文という色彩の本です。地球の各地でどの時期にどのような気候変化が起き、民族のダイナミズムにどのような影響を与えたのか、非常に精緻な分析の下に著された本で、ちょうどサピエンス全史の中で語られる、いろいろな大陸にサピエンスが広がっていく1万年に焦点を当てて書かれています。

例えば、民族移動の中でももっとも「有名」だと思われる、ゲルマン民族の大移動についても、この本では、ゲルマン民族は牛を使って一口麦を栽培していたのに対し、スラヴ民族は馬を使ってライムギを栽培したことにより、その移動後の空白地に住むことができた、という話など、非常に面白い話がちりばめられています。
(ただ、残酷な事実や、悲惨な過去の記載も多いので、そういうのが苦手な方はご注意ください。)
 
前掲の2冊の本に負けず劣らず通史として意義深く価値のある本だと思います。これがもっと一般的に平易な文章で、日本語のみならず英語ででも書かれていたら、もっと世界的に読まれたのかもしれないと思うともったいない思いです。
余談ですが、『サピエンス全史』で気になったのは、日本が出てくる数回の中で、朝鮮半島への侵略民族としてのみ語られている点です。筆者さんの住む西海岸での政治力の差なのかしら、と思ったり・・それだけが残念でした。