|~ 未来を担う人たちのために私たちにできること ~
2050年、現在20歳の大学生は55歳、10歳の子どもは45歳になります。このとき、日本はどうなっているでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口(2012年1月)」によると、現在かろうじて太めのつぼ形を保っている人口ピラミッド<図1>は、年々下半身がやせ細り、2050年には全体の面積も減ってまるで矢尻の先が土に突き刺さったような形になっています<図3>。1970年、約10人の現役で一人の高齢者を支えていたものが<図1>、2008年には約3人で一人、2050年には1.3人で一人の高齢者を支えるという試算です。また2050年時点で75歳以上の貧困高齢者1700万人のうち1200万人が生活保護対象になると言われています1。この驚異的人口減少および超高齢化貧困化社会において、高齢者の医療費や年金生活保護費に押しつぶされることなく、私たちの子どもたちが生き延びていけるようにするために、私たちに今できることはなんでしょうか。
グローバル化、ICT化により、企業はより安価な労働力を海外に求め、これまで人にしかできないと思われていた多くの仕事が、機械に取って代わられはじめています。30年前のように、普通に勉強して普通にそこそこの大学に入り卒業さえすれば仕事があるという時代はすでに終わりを告げつつあるのです。生き残りをかけて、日本企業・外資系企業を問わず、労働市場はグローバル化していきます。英語やその他の外国語を使うことは、教養でもオシャレでもなく、自分の市場価値を落とさないようにするための必須の要件となってきているのです。仕事をしていく上では、単に他言語や他文化を理解するだけでなく、相手に言いたいことを伝え、相手を動かす力も必要です。
一般社団法人アルバ・エデュでは既存の学校教育制度内で行われてきた教育を前提としながら、それのみでは補いきれない部分(コンテクストを共有しない相手との折衝や、さまざまなかたちのプレゼンテーション、論理思考能力のトレーニング、主に英語での意見表明や交渉、発表能力の向上など)を20年後30年後に日本をリードしていく次世代の若者にぜひとも身につけて欲しいと考えています。たとえ国という枠が弱まったとしても、世界中どこにいても強くしたたかに生きていけるという自信と、世界の競争相手と伍していく力があれば、これから迎える厳しい数十年を悲観することなく導いていくことができるのではないでしょうか。
3人の子を持つ親として私自身目の前のことに流されがちなのですが、アルバ・エデュの活動にご賛同くださる皆様とともに、自分の子どもたちだけでなく、次世代全体の底上げのお手伝いができれば幸いです。
(Asa)
1小笠原泰『没落する日本 強くなる日本人 弱者の条件 強者の条件』さくら舎、2014年、73頁.